2015年7月16日木曜日

テストエンジニア

残念なことに、我が国においてはテスト実施に従事する人は総じて地位が低く、エンジニアとして認識されない風潮さえ存在します。本来テストエンジニアとして高い能力を発揮する局面で、向上心や知識といった何ものにも代えがたい価値が削がれてしまっているのが現実だと言えます。
視点を変えて組織という単位で見てみると、こちらも同じような現象が起きていると言えます。評価や品質を考察するしくみが整備されていないために、必要な技術や経験知が整理されずに場当たり的に処理されているのが、また同じような現実だと言えます。
これらは、品質保証という観点から非常にかけ離れた遠い世界です。

ただ、この状況はあくまで私たちの所属する分野という世界での極端な例かもしれません。
では、産業という観点まで視座を拡げてみましょう。家電業界、自動車、重工業、交通、医療といった分野は、品質評価や信頼性評価、耐久試験などの知見がきちんと整備されています。おそらく、当たり前ではないかという感想が聞こえてくると思いますが、こと、ITの分野となるとやはりこの界隈での弱さを感じてしまう印象がぬぐえません。
これは、いったいどうしたことでしょうか?

ひとつには、私たちの分野はまだ歴史が浅いため、信頼性という高みにまでまだ熟成していないのかもしれません。
モノづくりは完成をもって完了というわけにはいきません。もっと言ってしまえば、世の中に出始めて、そこがスタート地点となるわけです。初期不良や使い勝手などが改善され、製品が熟成されていきます。
ここに重要なポイントが隠されています。
製品が熟成されるということは、つまり、生産ラインが改善され、作業手順が改善されます。常に振り返りながら、生産品質や作業品質を見直すのです。こうした地道な努力が安定した品質の製品を世の中に送り出す原動力となるのです。

ふたつめに文化の熟成があげられます。
見える化やQC、あるいはルールの強化、そして 作業者の自主的な改善活動。これらはすべて文化という地平に存在する事象だと思います。

こういった技術の裏側の部分(とは言え、これらもまぎれもない技術である)に目を向けてみるのも興味深いことだと思います。

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