今回は仮想環境を自動で構築する方法を試してみます。
あらかじめ VirtualBox がインストールされていることが前提になります。
なに? 自動構築と思えば、なんだそういうことか・・・ と言わずに、これには多大なメリットが得られます。
たとえば、何名かのメンバーでチーム開発を始めることを想像してみてください。それぞれのホストOSはバラバラなので、仮想環境を構築して開発環境を揃えるという方針をとります。
しかし、各々が、バラバラに開発環境を構築した場合のデメリットはあまりにも大きすぎます。非常にシビアな開発プラットホームをメンバー全員が共有できるでしょうか? とても難しい問題です。
今回は、その問題を簡単に、そして、シンプルに解決するソリューションのご紹介です。
では、VirtualBox がインストールされていない方は、早速導入します。
次に、今回の軸となるツール Vagrant をインストールします。
これは、各々の環境に応じたものを
ダウンロードすればよいでしょう。
インストール自体はとても簡単です。
終了したら次のコマンドでインストール結果を確認します。
$ vagrant -v
Vagrant 1.7.4
では、開発環境の構築をするための手続きを実施します。
まずは Box と呼ばれるものを追加します。Boxとは、仮想環境を構築するにあたりベースになるテンプレートと考えてよいと思います。
このテンプレートに対してさまざまなパッケージを導入するなりして、仮想環境を整備します。このベースになる部分はたとえば、
Vagrantbox.es などのようなサイトに集積されてるので、はじめはそれを利用するのがベストな選択だと言えるでしょう。
Boxを追加するコマンドは以下のとおりです。
$ vagrant box add [name] [url]
[name] はこれから作成する仮想環境の名前を付与します。どんな名前をつけても構いません。
[url] の部分には、テンプレートとなるboxイメージをダウンロードするURLを指定します。
たとえば、以下のようになります。
$ vagrant box add centos_6_3_32bit http://tom.davidson.me.uk/dev/vagrant/centos63-32.box
コマンドを実行します。
http://tom.davidson.me.uk/dev/vagrant/centos63-32.box
Downloading box from vagrant box add centOS63_32 http://tom.davidson.me.uk/dev/vagrant/centos63-32.box
Extracting box...ate: 642k/s, Estimated time remaining: --:--:--)
Successfully added box 'centOS63_32' with provider 'virtualbox'!
Successfully added box・・・ と表示されたら完了です。
では、結果をリストしてみます。
$ vagrant box list
centos_6_3_32bit (virtualbox)
次にたったいまダウンロードしたテンプレートを元に初期化します。
適当なディレクトリを作成して、その場所をカレントとします。
cd C:\Users\username\Cent_OS_6_3_32
では、さきほどのBoxを名前を指定して初期化します。
$ vagrant init centos_6_3_32bit
初期化が完了したら、SSHでアクセスできるように設定ファイルを書き換えます。
カレントディレクトリに Vagrantfile が生成されているはずなので、config.vm.network セクションを変更します。
IPアドレスの部分のコメントアウトを外します。
# Create a private network, which allows host-only access to the machine
# using a specific IP.
config.vm.network :private_network, ip: "192.168.33.10"
これで、192.168.33.10 が仮想マシンに割り当てられました。
これで起動できる状態になったので、起動します。
$ vagrant up
Bringing machine 'default' up with 'virtualbox' provider...
==> default: Clearing any previously set forwarded ports...
==> default: Clearing any previously set network interfaces...
==> default: Preparing network interfaces based on configuration...
default: Adapter 1: nat
default: Adapter 2: hostonly
==> default: Forwarding ports...
default: 22 => 2222 (adapter 1)
==> default: Booting VM...
==> default: Waiting for machine to boot. This may take a few minutes...
default: SSH address: 127.0.0.1:2222
default: SSH username: vagrant
default: SSH auth method: private key
default: Warning: Connection timeout. Retrying...
==> default: Machine booted and ready!
==> default: Checking for guest additions in VM...
default: The guest additions on this VM do not match the installed version of
default: VirtualBox! In most cases this is fine, but in rare cases it can
default: prevent things such as shared folders from working properly. If you see
default: shared folder errors, please make sure the guest additions within the
default: virtual machine match the version of VirtualBox you have installed on
default: your host and reload your VM.
default:
default: Guest Additions Version: 4.3.16
default: VirtualBox Version: 5.0
==> default: Configuring and enabling network interfaces...
==> default: Mounting shared folders...
default: /vagrant => C:/Users/username/Cent_OS_6_3_32
==> default: Machine already provisioned. Run `vagrant provision` or use the `--provision`
==> default: flag to force provisioning. Provisioners marked to run always will still run.
起動しました。
終わりから3行目に共有フォルダの設定が表示されていますが、この内容はVirtualBoxからでも参照できます。
仮想マシンへの接続は TeraTerm などを使ってSSH接続します。Windows以外であれば vagrant ssh というコマンドを使えます。
SSH接続は
ホスト: 192.168.33.10
ポート: 22
ユーザ: vagrant
パスフレーズ: vagrant
でログインします。
さて、ベースになる仮想マシンができあがったので、あとは開発に必要なパッケージを適宜導入して、メンバ間でこの仮想環境をシェアすれば、環境の差異という問題を解決することが可能になります。
もうひとつ、大きなメリットは仮想環境をひとつ作成すれば、ほかのメンバーに共有することにより、それぞれが環境を構築するという煩わしさから開放されます。
ぜひ、試してみてください。